ブラジルは世界トップクラスの豆の生産国。そして彼らはよく豆を食べます。日本人も、豆食文化で、よく豆を食べますが、実は日本人よりも、ブラジル人の方がよく豆を食べるようなのです。どのくらい食べるんでしょうか。
国連食糧農業機関の統計データ(Faostat)によりますと、2019年度の豆の消費量は、日本は年間一人当たり0.95kgなのに対し、ブラジルは年間一人当たり12.69kgでした。
この数字から見てもブラジル人がよく豆を摂取しているのが分かりますね。今回はブラジルで食べられている豆のお話と、代表的な豆料理「フェジョン」を紹介していきます。
目次
日本でも馴染みのあるインゲン豆
ブラジルで人気の豆はインゲン豆です。以前、フェイジョアーダの記事で黒インゲン豆を紹介しました。インゲン豆は、豆の中でも色や模様の違う種類がたくさんある豆です。「世界で栽培されている品種の数は1000種を超える」と言われてい程です。
日本で馴染みない豆かと思いきや、そうでもないです。日本では、インゲン豆を甘くして大半が和菓子に使われています。白餡などに使われる豆や甘納豆なんかもインゲン豆が使われています。
また、インゲン豆の熟す前の若ざやを食べる品種で、「さやいんげん」として、よく日本の食卓で出されています。
ブラジルで食べる「インゲン豆」とは見た目もかなり違うし、味の付け方も全く異なるので、これが、同じインゲン豆の仲間だということに驚きです。
インゲン豆は、中央アメリカが原産で、1654年に中国からやってきた隠元禅師(いんげんぜんじ)というお坊さんが日本にもってきたと言われているんだよ。
だから、「インゲン豆」!!!
ブラジルで人気のインゲン豆は?
インゲン豆がかなり種類豊富な事がわかりましたが、ブラジルで一番よく消費されるインゲン豆はなんでしょう。
米国農務省(USDA)の2019年のGAINレポートによると、「カリオカ」という豆が圧倒的でした。続いて「ささげ」、「黒いんげん豆」と続きます。ブラジルは広い国なので、地域によって、食べる豆の傾向も変わります。また、「フェイジョアーダ」 を作るときは黒、「フェジョン」を作るときはカリオカなど、地域によって豆を使い分けています。
リオデジャネイロ、サンタカタリーナ、リオグランデドスル州、連邦直轄地は、地元で生産された黒インゲン豆を好んで使用します。ブラジルで人口の一番多いとされるサンパウロ地域はカリオカ豆を好み、北東部の地域はささげを食べる傾向にあるようです。
ささげっていうと、日本でお赤飯に入っている「小豆に似た紅色の小さめのお豆」を想像しますよね。ブラジルで食べるささげは、小豆のような紅色もあれば、白、肌色、緑と様々です。
インゲン豆に柄入りの豆が多いのはなぜ?
そういえば、インゲン豆は他のまめに比べて、柄入りの豆が多い気がするね。なんでかな?
面白い所に気がついたね。その答えは、遺伝子だよ!
柄のあるインゲンマメの細胞の中には、皮に模様が入れる情報を持った遺伝子があります。模様の入る場所まで決める遺伝子も存在します。このような遺伝子が集まり、様々な柄の入ったインゲン豆ができるんですね!
豆と栄養のお話
豆の栄養素といえば、どの豆もタンパク質が豊富なのは有名です。その他にも炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルが含まれています。特に日本人のよく食べる大豆は、肉や魚にも負けないくらいのタンパク質が含まれています。大豆は豆類の中で脂質も多いですが、炭水化物は少ない特徴があります。
ブラジル人のよく食べるインゲン豆は、大豆と異なり、炭水化物が豊富で脂質はほとんど含まれていないのが特徴と言えます。
「豆とご飯の組み合わせ」は実はとっても良い相性
豆類に多く含まれる「タンパク質、炭水化物、脂質」は、体を動かす源になるとっても大事な栄養素です。炭水化物や脂質を全く取らないような、過度なダイエットは脳の動きを鈍くし健康的に好ましくありません。豆によって栄養素は異なるので、含む栄養素によって食材の組み合わせを考えてみましょう。色々な食材と組み合わせる事で、健康的な食事になりそうです。
例えば、大豆だと炭水化物が少ないため、お米の代わりにはなりません。しかし、インゲン豆であれば、炭水化物を多く含むため、お米と似た栄養素が取れます。インゲン豆には、炭水化物の他にも、タンパク質、ビタミン、ミネラルも含まれているので、お米を少なめにしてインゲン豆を加えるのも健康的です。
また、お米と豆を一緒に取る事がより体にメリットをもたらすようです。
なぜかというと、お米や小麦は「リジン」というアミノ酸が少なく、他の食材から取らなくてはいけません。リジンは体内で作られない必須アミノ酸です。リジンが低下すると、疲れやすくなる、集中力の低下、肝機能の衰え、めまい、吐き気の症状が現れる事があります。
豆のタンパク質には、この「リジン」が豊富に含まれています。なので、ブラジルや日本の食卓でよくある “お米と豆の組み合わせ” は、タンパク質の栄養価を向上させるとっても良い組み合わせになります。
リジンは、肉類、魚介類、乳製品などにも多く含まれているので、メインのおかずがあれば豆を食べる必要がないと思うかもしれません。
しかし、ここでも一品、豆料理を追加すると体に良い事があります。豆類が多く含む食物繊維は、コレステロールや糖質の吸収を抑えて身体の外へ出す働きがあります。ご飯を食べても血糖値の上昇を抑え、お肉や揚げ物などのメインがあっても、コレステロールを排出してくれる!豆は健康維持する為の素晴らしい食材と言えそうです。
作ってみよう!ブラジル豆料理フェジョン
ブラジル豆料理「フェジョン」を紹介します。
フェジョンはブラジルの日常食です。毎日出てくる豆料理で、日本で言うなら「味噌汁」みたいな存在。煮豆が好きな人ならきっと美味しいと思うはず。
材料(4人分)
- 乾燥豆 ( 今回は「カリオカ豆」を使います ) ・・1カップ
- ニンニク ・・・1掛
- 玉ねぎ・・・・半分
- 塩・・・小さじ1
下準備
- 乾燥カリオカ豆は洗って一晩、たっぷりの水に浸しておきます。
- 圧力鍋を使う場合は、インゲン豆の煮方をチェックしておきましょう~。
(※圧力鍋によって圧力時間が異なります。)
作り方
- にんにく、玉ねぎはみじん切りにします
- 鍋に油を引いて、ニンニクを炒めます。
- ニンニクの香りがたったら、玉ねぎを加えて、しんなりするまで炒めます。
- 水を切ったカリオカ豆を加えて混ぜ合わせ、水1カップ入れ、蓋を閉めて弱火で豆が柔らかくなるまで煮ます。水が足りなければ足して調節下さい。(※圧力鍋を使って時間短縮できます。)
- 豆が柔らかくなったら、水を3カップ程足して、塩小さじ1程、加えて味つけします。
- 再び火にかけ、若干とろみがついてきたら、完成!味見をして、塩で好みの味付け加減に調節して下さい。少しおたまで豆を潰すと、とろみがつくかも。出来上がりはスープみたいです。
味付けには、こんな商品も使ってみるといいかも ! 「味の素 サゾン」 前にパステルの記事で紹介しましたが、コチラは味の素が出している料理を簡単にしてくれる粉末調味料です。塩、玉ねぎ、ニンニク、ハーブが入っています。これを入れておけば、「フェジョン」の味付けは、完璧。美味しく仕上がるという優れもの。一袋に5gの小袋が12袋入っており、大体4人分のフェジョンに一袋使います。 味をつけず(塩を入れず)にフェジョンを作り、小分けにして冷凍。食べるときに解凍し火にかけ、好みの加減まで水を足して、サゾンで味付けして食べるというやり方もおすすめ。
食べ方はご飯に乗せて
食べ方も人によって違いますが、筆者のブラジル人夫はご飯にこの「フェジョン」をたっぷりかけて食べています。
焼いたお肉や、ソーセージ、サラダと付け合わせてワンプレートに盛りつけるとこんな感じになりました。味つきの豆なので、ご飯に合うし美味しいです。
あとは、好みでパスタに入れたりして食べるのも美味しいです。よくトマトパスタに、フェジョンをかけるのですが、見た目は正直あまりよくないです。なので、日本人の私的には、見た目も欲しいので、横にちょこんと載せて食べるときに少しずつ混ぜて頂きます。
栄養面的には、豆のタンパク質や食物繊維なども取れるので、おすすめです。
以上、ブラジルの豆の話と「フェジョン」の作り方でした〜!
参考文献
- 石谷孝佑「お豆なんでも図鑑」ポプラ社 2013/04
- 銀城康子(著) 萩原亜紀子(絵) 「ブラジルのごはん(絵本 世界の食事)」農山漁村文化協会 2008/02
- Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO) FAOSTAT: Food Balances (2010-2019), https://www.fao.org/faostat/en/#data/FBS (accessed on June 20, 2022)
- U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE (USDA) : Brazil: Brazilian Dry Bean Production(July 23, 2019), https://www.fas.usda.gov/data/brazil-brazilian-dry-bean-production (accessed on June 20, 2022)
- Julliane Destro de Lima, et al, Chemical and nutritional characterization of bean genotypes (Phaseolus vulgaris L.), Agriculture and Food, AIMS press. 2019, http://www.aimspress.com/journal/aimsagri (accessed on June 20, 2022)