ホーム » 国際結婚 » 国際宅配業者FedEx, DHL, UPSを比較。コロナで一部サービス停止も。
Courier carrying order, delivering parcel. Express cargo delivery service, air freight logistics and distribution, global postal mail concept. Pinkish coral bluevector isolated illustration

郵便局がダメなら国際宅配業者がある

世界で新型コロナウイルスが流行して以降、人々の生活様式の変化と共に消費が変わりました。外へ出なくなり、通販での購入が増加。ロックダウンで工場や倉庫などは閉鎖し、クラスターなどの影響もあり現場は人手不足。結果、国内物流だけでなく、輸出入にも変化が見られ国際物流にも混乱が生じました。

その影響は郵便局の国際郵便にも出ており、現在でも一部の国では、国際郵便物の取扱いを一時停止しています。郵便局で送りたい人は下記の記事で国際郵便を紹介してます。

ブラジルに荷物を送りたかったんだけど・・郵便局だと船便のみの受付だと言われてしまった・・。

筆者が荷物を送りたい先であるブラジルも影響を受けている国の一つです。現在の情報(2022年9月)で、郵便局の国際郵便は船便のみの受付となっています。船便だと、通常3ヶ月程なのですが、郵便局の人から「いつ届くのか分からず、半年かかる可能性もある」なんて言われてしまい、泣く泣く送るのを諦めていました。

郵便局では送れない、でもどうにかして届けたい。そんな時は、自社で航空機を保有している国際宅配業者を頼ってみましょう。以下、大手3社は、郵便局で荷物を受付してくれなくても、問題なく国外へ送る事ができます。

FedEx (フェデックス)
本社はアメリカにあり、陸から空まで世界最大手の物流会社。世界220の国と地域に対応している。貨物を運ぶ航空機の数は小型から大型まで合計600機以上保有している。

DHL (ディーエイチエル)
ドイツに本社のある国際輸送物流会社です。しかし、1969年の設立時はアメリカの会社でした。1998年にドイツ企業の傘下になり、アメリカの会社では無くなりました。世界220以上の国と地域に対応。専用航空機260機以上を保有している。

UPS (ユーピーエス)
UPSは [United Parcel Service] の略。アメリカの物流会社で、自社の航空機を運行する国際貨物航空会社でもある。世界220以上の国や地域で活躍。航空機も280機以上を保有。

国際宅配業者と郵便局の違い

違いや比較

通関の仕組み

国際宅配便と国際郵便の大きな違いといえば、「通関の仕組み」が異なります。

郵便局の場合は、内容物が20万以下の場合は税関に輸出申告しなくても良いということになっており、「税関告知書」という、荷物の中に入っている物を知らせる用紙に記入します。20万円を越すと、「インボイス(仕入書)」の記入が求められ、自ら「輸出申告」を行うか、通関業者に依頼しなくてはなりません。インボイスは、「税関告知書」と大体同じですが、もう少し商品の具体的な情報を記載します。

対して国際宅配業者に頼むと、各業者の通関士が金額に関係なく通関手続きを輸出入者に代わって行います。国際郵便の時と異なり、基本的に「インボイス」は必要となるでしょう。

信書の郵送は国際郵便のみ

信書は郵便法弟4条で郵便局のみ送達できるように定められています。

国際宅配便の方がサービスが充実しているが、価格は高め

通関代行料、現地での宅配料、その他オプションサービスなどで国際宅配便の方が国際郵便より割高になりやすいでしょう。また、対応地域も、郵便局のEMSは120カ所の国や地域なのに対し、国際宅配業者は220カ所以上と広く活躍しています。

配達可能重量にも違いがあります。郵便局では30kgまでとなっていますが、国際宅配業者は約70kgまで配達可能で、それ以上重い物でも、「フレイト」というサービスで各社受付しています。

また、配達可能な物品についても各社多少異なっているので、危険物に該当するような微妙な物を送る場合は、一つの業者で送れないからと諦めるのは早いかもしれません。

国際宅配業者は各社独自の配達ルートを確立しており、業者によって得意な国や地域があるようです。主要なビジネス街であれば、速達便が利用できます。速達便を利用すると最短で翌日にお届けなど、EMSよりも早い配達が可能です。

国際宅配業者と郵便局で頼む場合の違い

  • 内容品の金額に関わらず、国際宅配便では「インボイス」が必要になる
  • 信書の郵送は国際郵便のみ
  • 国際宅配便の方が価格は高め
  • 国際宅配業者は届けられる国・地域が郵便局より多い
  • 国際宅配業者は郵便局で取り扱えない物も送れる

ブラジルに送る荷物でFedEx、DHL、UPSを比較!

日本からブラジルに小包を送らなければならない為、各社を比較してみました。

国際宅配業者大手3社比較

ブラジル(サンパウロ)行き:箱のサイズ(長さ26cm 幅25cm 高さ27cm) 容積重量4kg(2022年8月調べ)
※損害賠償詳細は下に説明有
※横にスライドできます

企業 サービス名 用途 価格 配達日数 損害賠償上限※ 追跡 最大重量 備考
FedEx フェデックス・インターナショナル・プライオリティ 営業終了時間までに配達 32,612 4日 100USDまで無料 68kg以下
DHL DHL エクスプレス・ワールドワイド 配達可能な営業日中の配達 74,084 7日 70kg以下
DHL エクスプレスイージー コストを抑えたい 26,000 7日 15kg以下 専用BOX必須。集荷不可(営業所へ持ち込み限定)
UPS UPS ワールドワイド・エクスプレス・セイバー 営業終了時間までに配達 26,503 5日 11,000円まで無料 70kg以下
UPS ワールドワイド・エクスぺダイテッド コストを抑えたい 23,530 8日 11,000円まで無料 70kg以下

価格が一番安い所と、早く配達ができる所に黄色いマークをしました。

各社、小包の配達条件と対応地域に合わせて様々なサービスを展開しているんですが、現時点(2022,9月)で、ブラジルが届け先で利用できるサービスは上記表の5つのみでした。

ブラジル行きで3社を比較した結果、価格について、万を超える大きな差が出ました。価格で魅力的なのは、圧倒的にUPSという結果になりました。一方で、UPSで8日かかる荷物も、フェデックスでは、およそ半分の4日で届けられるという結果に。DHLは普通に送ると金額がかなり高いですが、「DHLエクスプレスイージー」というサービスにすると、配達速度は変わらないのに、コストを抑える事が可能です。

どの会社もブラジル行きは、時間指定や署名サービスを利用する事は不可でした。

にしても、値段が万単位で違うので、やはり比較するべきですね。

FedEx、DHL、UPSの損害賠償制度を比較する

Man receiving empty parcel with stolen goods

海外に荷物を送る際、「品物が壊れて届くのでは?」「紛失・盗難に遭うのでは?」など、心配がつきません。日本国内よりも海外の方がトラブルに巻き込まれる可能性は高い気がしますよね。そんなトラブル時に重要となる「損害賠償制度」を3社で比較します。

(2022年8月調べ)
※内容は変わる事があります
※仕向地によっては異なる場合があります

損害賠償制度 比較
FedEx 品物の申告金額に応じて補償。
補償額上限
「100USD/1荷物」 または 「20USD/重量1kg」いずれか大きい額
上限を超える場合
有料で5万USDまで引き上げ可能。
輸送費補償は無し。
DHL 品物の申告金額に応じて補償。
補償額上限
「品物の市場価格」 または「申告金額」 または「22SDR/重量1kg」いずれか低い額
上限を超える場合
有料の運送保険で補償が可能。
有料保険は輸送費もカバーされる。
運送保険料
2,500円または、申告金額の1.2%いずれか高い方を適用。
UPS 品物の申告金額に応じて補償。
補償額上限
「11,000円/1荷物」が上限。
上限を超える場合
11,000円毎に130円の割増料金を支払えば、引き上げ可能。
輸送費補償は無し。

参照元:FedEx(2022)「国際サービス規約」
DHL(2021)「DHL Express 運送約款」
UPS(2022)「サービス約款」

どの会社も、申告金額によって補償額が決まります。

黄色くマークしましたが、FedExの上限金額の設定は「いずれか大きい額」なので、例えば重量10kgの物なら200USDが上限になり、申告金額が15,000円なら上限以内なので、全額補償されます。重量が軽くても、申告金額が上限の100USD以内なら全額補償されるので安心です。

対してDHL「いずれか低い額」です。重量が軽い物ほど、上限額は低く設定されます。上限額設定に使われている「SDR」とは、全世界共通の通貨単位です。2022年1月時点、「1SDR=153.7643円」なので、1kgでおよそ3,000円はカバーできる計算になります。今回、ブラジルに4kgの品物代8,000円で荷物を送る予定ですが、4kgだと約13,000円が上限なので、補償額は十分だと言えます。

また、3社の中でDHLのみ、輸送費用も補償される有料の「運送保険」があります。これをつけると、品物の申告価格全額だけではなく、輸送費もまた補償されます。ただし、DHLのお得なサービスである「 DHLエクスプレスイージー」には、運送保険はつける事ができません。

UPSは荷物1件につき11,000円上限とシンプルな設定です。

View of a Woman taking picture of her damaged parcel

各社とも、補償があるから安心というわけでもなく、自然災害や戦争のような不可抗力での過失については、補償の対象外になりますので、注意してください。大体が「配送業者に過失があった場合のみ」に補償されますので、何かトラブルがあった際には、できれば証拠と共に速やかにクレームを出しましょう。

配達条件別:国際宅配業者大手3社比較

配達条件別で各社のサービスを比較します。金額は配達先、需要・供給などで都度変動しますので、金額の比較は割愛します。ちなみに70kg超えのような重い物を送るなら各社フレイトという別のサービスを提供しています。ここで紹介しているのは70kg未満のサービスです。

急ぎの荷物

※内容は変わる事があります。(2022年8月調べ)
※横にスライドできます

企業 サービス名 用途 配達所用日数 対応地域 最大重量
FedEx フェデックス・インターナショナル・ファースト 平日早朝配達/速達
最短午前8時までに配達
通常1〜3営業日 米国、カナダ、ブラジル、メキシコ、プエルトリコ:1~3営業日(午前8時まで)
EU:2営業日以内(午前9時まで)
68kg以下
DHL DHL エクスプレス9:00 平日早朝配達/速達
午前9時までに配達
通常1〜3営業日 主要ビジネスエリア 70kg以下
ジェットライン カスタマイズ配送 相談 相談 無制限
UPS UPS ワールドワイド・エクスプレス・プラス 平日早朝配達/速達
最短午前8時までに配達
通常1〜3営業日 米国/カナダ: 2日間(午前8時まで)
ヨーロッパ: 2日間(午前8時まで) アジアの主要都市のみ: 翌日(午前9時まで)
70kg以下

価格を抜いてしまうと、正直、各社似たような感じです。このサービスは対応地域が主要ビジネス街などに限られています。配達先により日数と時間に差が出るかもしれません。

FedExは対応地域にブラジルが入っていますが、今回小包を送る際に利用できるサービスに入っていなかったので、一時的にブラジルは除外されているようです。

価格を気にしないで緊急なら、DHLのジェットラインが気になる所です。カスタマイズ配送なので、できる限りあらゆる条件に答えてくれるのかもしれません。

午前中配達

※内容は変わる事があります。(2022年8月調べ)
※横にスライドできます

企業 サービス名 用途 配達所用日数 対応地域 最大重量
FedEx フェデックス・インターナショナル・プライオリティ・エクスプレス 午前10時半または
正午までに配達
通常1〜3営業日 特定のアジア地域、米国、カナダ、ヨーロッパ 68kg以下
DHL DHL エクスプレス10:30 午前10時半までに配達 要確認 30kg以下
DHL エクスプレス12:00 正午までに配達 要確認 70kg以下
UPS UPS ワールドワイド・エクスプレス 午前10時半または
正午までに配達
通常1〜3営業日 米国、ヨーロッパ、アジア、カナダ、中南米一部 70kg以下

DHLのみ午前中10時半までの配達には30kgまでとなっています。

UPSはFedexに記載されていない中南米が対応地域に入っていますね。しかし、こちらも今回、ブラジル行きには使えなかった為、対応地域は参考程度にしてください。現在、コロナや戦争で配達方法が制限されている国や地域が結構あるようです。

通常配達

※内容は変わる事があります。(2022年8月調べ)
※横にスライドできます

企業 サービス名 用途 配達所用日数 対応地域 最大重量
FedEx フェデックス・インターナショナル・プライオリティ 営業終了時間までに配達 通常1〜3営業日 220以上の国と地域 68kg以下
DHL DHL エクスプレス・ワールドワイド 配達可能な営業日中の配達 通常1〜5営業日 220以上の国と地域 70kg以下
UPS UPS ワールドワイド・エクスプレス・セイバー 営業終了時間までに配達 通常1〜5営業日 220以上の国と地域 70kg以下

FedExとUPSは、次に紹介する価格を抑えたサービスよりもこちらの方が、数日早く届けられます。

価格を抑えた配達

※内容は変わる事があります。(2022年8月調べ)
※横にスライドできます

企業 サービス名 用途 配達所用日数 対応地域 最大重量
FedEx フェデックス・インターナショナル・エコノミー 現在サービス停止中 通常2〜5営業日 停止中 68kg以下
DHL DHL エクスプレスイージー 配達時間指定無 通常1〜5営業日 要確認 15kg以下
UPS UPS ワールドワイド・エクスプレス・エクスぺダイテッド 営業終了時間までに配達 通常3〜5営業日 アジア各国、ヨーロッパ、南北アメリカの主要ビジネス街 70kg以下

FedExの一番安いサービスであるフェデックス・インターナショナル・エコノミーは、残念ながら新型コロナウイルスの影響で、一時的にサービスを停止中です。

一番安いサービスは、DHLを除いてやはり配達日数がかかります。しかし、飛行機で運ぶ事には変わりないので、遅くとも2週間以内には届くでしょう。(日本の裏のブラジルでも8日とかだったので。)

DHLの「エクスプレスイージー」は配達日数が通常配送の「DHL エクスプレス・ワールドワイド」と変わらないそう。しかし、集荷不可で持ち込みのみ受付だったり、専用BOX(無料)に入れないといけなかったり、安く運ぶには色々条件の多いサービスです。最大重量は15kgDHL特有の有料保険にも入れないとの事。(DHLエクスプレスイージーHP)

最後にヤマト運輸と佐川急便

実はヤマトと佐川でも国際宅配便を受付けています。どちらも、自社で集荷から通関-輸送-現地配達というわけではなく、上記にあげたような国際宅配業者と協力して配達しているようです。

ヤマトはUPSと業務提携をしています。ヤマトHPの輸送の流れをみると、集荷はヤマトで行うも、その後の通関から輸送―輸入通関―配達という業務はUSPがしているようです。

となると、金額もUPSに直接頼むよりも高くなるのかと思ったのですが、料金表を見ると、むしろ安い・・。サイズは縦、横、高さの3辺の合計で大きさが決まり、実重量を測って、料金表から金額が大きい方の値段が適用されるとの事です。今回、ブラジル行きの荷物を料金表で見ると、80cm以内の5kgに入るので、14,400円になり、8日程度で配達できた可能性があります。上記の外資系の3社と比較すると、かなりお安いですね。

しかし、残念ながら、ブラジル行きは書類以外、個人のお取り扱いができないとの事でヤマトHPに記載されていました。個人と書いてありますので、会社間のお取引はできるようです。

ブラジル行きは、現在どこも引き受けてくれないようなので、唯一引き受けてくれる国際宅配業者の価格が上がっているだけかもしれませんね・・・。

個人でもUPSに直接頼むとブラジル行きは引き受けてくれるのに、ヤマトを挟むと受付不可になります。これについては、UPSの提供しているサービスとヤマトの提供しているサービスは、そもそも別のサービスであり、内容が異なるとの事で、対応している国や地域も違うようです。

佐川もヤマト同様、提携先と協力して海外まで配達してくれます。荷物が現地に着いたら、現地法人または代理店によって受取人に引渡しされるようです。

しかし、こちらも、ロシア、ブラジルの個人の荷物はお取り扱いできないとの事でHPに記載ありました。残念です。料金表から、もしブラジルへの配送が可能だったとすれば、おそらく23,000円前後で、5日程度で配達できたのかと予測されます。

まとめ

新型コロナウイルスが猛威を振るって以降、物流には大きな影響が出ていたんですね。

きっとブラジルだけではなく、他の国や地域でも同じように送れなくなってしまった所もあるのでしょう。全く送れないわけではないのですが、数少ない送れる業者に頼むと価格が高騰しているのか、かなりの負担になりました。

今回の比較は2022年8月、9月の比較になりますので、また、コロナが落ち着いてきたらきっと変わるのでしょう。

〈参考文献〉

<その他の人気記事>