物を国との間で移動する場合、基本的には関税、消費税がかかります。国によって、かかる関税の率や、免税の条件は異なります。ブラジルはどうなっているのか、調べて見ました。
ブラジルにいる家族にプレゼントを送ったんだけど、もしかして、関税がかかるのかな・・・
目次
ブラジルの関税は全体金額の60%
ブラジルでは、個人的な輸入は一度に3000USDまでに制限されています。
尚、500USDまでであれば通関手続きは比較的簡単で、税額は商品の価値、送料、保険料を含む金額の60%になります。これに、各州で課税されるICMS (商品流通サービス税)が加えられます。ブラジルのサンパウロ州のICMS (商品流通サービス税)は18%となっています。
ブラジルの免税の条件は?
ブラジルの免税の条件は、個人と個人のやりとりで、さらに非営利目的であり、小包の合計金額が50USDまでであれば免税になります。
実は1980年のブラジルの法令では、受取人が個人の場合、100USDまでの荷物は免除されていました。しかし、1999年に、限度額が50USDに引き下げられ、差出人も個人でなければならないという要件が追加されました。
100USDまで免税にしてくれたらいいのに・・。
免税になるなら、虚偽の申請をしたくなりますが、虚偽の情報を記載すると犯罪とみなされる事があります。大体の場合は罰金になるかと思いますが、申告価格は正確に記入するようにしましょう。
税関では、全ての小包を開封する訳ではありませんが、書類に不備があったり怪しいと見做されると開封される可能性も高くなります。「プレゼント」であれば、ギフト用に綺麗に包装しているかもしれませんが、開封されるかもしれないので、あまり複雑な包装にはしない方が無難です。
免税の条件に当てはまるなら、インボイスにしっかり「贈り物(Gift)」である事の記載をし、さらに、「No commercial value, for customs purpose only」(商業的な価値は無く、通関目的のみ)という文を記載しておきましょう。
使用品・中古品を送る場合の申告価格
「中古品」を送る場合、実際に商品が使用されていて価値が下がっていたとしても、インボイスに記載する申告金額は、商品の市場価格を記載する必要があります。なので、「0JPY」になる事はありません。
また、商品価値を下げるために「中古品」と記載するのは、やめておきましょう。現地市場価格を調査され、商品が実際の価格よりも高く設定される可能性もあります。調査対象になると、通関に時間がかかる上に、実際に商品が「中古品」でも、新品の価格で税金が課される事もあります。
国際宅配業者の速達便を使うと課税される
国際宅配業者とは、FedEx、DHL、UPSなどが代表的です。速達便で送る場合、申告金額に関係なく、小包に対して関税が請求されます。こうする事で、業者は通関を迅速にし時間通りの配達を試みます。という事は、免税の範囲内でも、荷受人は税金を払う事になります。
原則、荷受人に請求が行きますが、各社、送る側に関税を請求する選択ができたりするので、状況に応じて利用するといいでしょう。
ブラジルは課税方法に一貫性がない
ブラジルでは、免税の条件をクリアして送ったはずのに、時に関税・消費税が課されたりする事がおきます。しかも、罰金まで課せられ、高額請求されたりする事もあるのです。逆に、課税させるはずの物がされていない事もしばしば見受けられます。
In Brazil, sometimes. It’s all about luck, but usually the smaller packages bypass customs, while bigger and heavier not. When I built my MiSTer with you last year, in three shipments only one got charged, it was 60% the declared value on USPS. It helped me me a lot!
— Lancelot (@vpp) June 4, 2020
このように、ブラジルは、課税方法に一貫性がないという報告がインターネット上で上がっています。
もしも、送った荷物が課税されてしまった場合、どうしたらいいでしょうか。
課された税金が高額で無ければ「税金を支払って受け取る」選択をするでしょうが、高額だった場合は「支払いを拒否して受け取らない」または「税務調査フォームに記入して申し立て、修正されるのを待つ」という選択もできます。
しかし、この場合、残念ながら「税金を支払って受け取る」のが一番良い選択に思われます。なぜなら、受け取り拒否しても、返送代がかかります。不服を申し立てても、申し立てが受け入れられる保証はなく、その間の荷物の保管料や、輸入税に関する延滞料などが発生してしまうからです。
体験談:実際に小包をブラジルへ送ったら
実際に日本からブラジル、サンパウロ宛で 9,000円ほどの荷物を送りました。9,000円なので、この記事を書いた時のレートでいくと62USDで50USDを超える為、免税にならず関税がかかる予想です。
配送料は国際宅配業者を利用して燃料サーチャージ、保険込みで 「21,864円」。
さて、ブラジルで気になる関税は・・「362.10 BRL (日本円で9,680円程度)」になりました。関税の計算式は・・
関税の計算式
関税・輸入税 = (申告金額+運賃+保険)の60%
「申告金額+運賃」の合計が 603.50 BRL (16,000円程度) と、計算されており、この金額の60%で 362,10 BRLとなりました。「申告金額+運賃」の「運賃」ですが、実際に支払った配送料ではなく、「輸出港から輸入港までの運賃」だそうです。今回、有料の保険は付けませんでしたが、付けていたらおそらく加算されて計算になるでしょう。
ここから、ICMSが加算されます。サンパウロのICMSの税率は18%で、ICMSの計算式は、
ICMSの計算式
ICMS = (申告金額+運賃+輸入税)の18% ÷ 0.820
603.50 BRL と 362.10 BRLを足して、0.820 で割ると、211.96 BRL (5900円程)になり、これがICMSとして加算されています。
続いて通関費用が 128.68 BRL(3500円程) 追加され、最後に通関手続き中の空港保管料として 29.47BRL (800円程)がかかりました。総額で、「 732 BRL (19,570円程度)」かかりました。
率直な感想として、高いです。関税と消費税その他かかる費用が、品物代を遥かに超えています。今回は頼まれた為、送りましたが、免税にならない物は送らない方が無難だと感じました。
関税って思ったよりも高くて驚き!!
ブラジルの関税は高いって言われてるよ。
まとめ
海外に荷物を送るって簡単ではない事が判明。日本の物を送ってあげたくても、関税・消費税が容赦なくかかりますのでご注意を!
受け取る側にあらかじめ伝えておかないと、受け取らずに返送になってしまいそうな金額です。
贈り物をする場合は、免税の範囲内でするか、または、現地の通販でクレジットで買い物して、そのままブラジルの住所に送った方が良いでしょう。