ブラジルの定番のスイーツとして「プヂン」があります。日本の「プリン」と然程変わらないのですが、ブラジル流はちょっと違います。
日本のプリンと形も違うね。
この丸くて真ん中が空いた形がブラジルの定番プヂンだよ。別の形にしても全然いいんだけどね。
目次
普通のプリンと何が違うの? – プヂンの特徴とは!?
実は、作り方は普通のプリンとほとんど変わりません。( というか、一緒だと思います。)
では、何が違うかというと、砂糖の代わりにコンデンスミルク(加糖練乳)を使う事。コンデンスミルクは、ブラジルのスイーツ作りでよく使われ、スイーツに深い濃くをプラスしてくれます。
デメリットとして、コンデンスミルクはカロリーが高い為、減量したい方はあまりオススメできません。しかし、砂糖だけ使用するよりも、タンパク質、脂質、カルシウム、リンなど骨を健康にする成分を取る事ができます。たくさんのエネルギーを必要とする場面や、体重を増やしたい人にとっては、利点になるでしょう。
コンデンスミルクをたっぷり使用するブラジルのプヂンは、非常に濃厚でコク深い味わいです。美味しくて、つい食べすぎてしまいそうですが、カロリーは高いので、食べ過ぎには注意しましょう〜。
ブラジルでは、コンデンスミルクの値段も安くて簡単に手に入るんだ。Nation Master の統計資料によると、2019年のブラジルのコンデンスミルクの生産量は世界第5位だったよ。
自国で生産しているだけあって、手に入りやすいんだね。
プヂンは「ブラジルのフラン」とも呼ばれる
ブラジルプリンは現地では「pudim」と書き、「プヂン」と読まれます。日本でよく食べられている「プリン」とほとんど変わらないので、日本では誤解がうまれにくいですが、これを英語 ( プリン=pudding (プディング) )にすると、やや誤解が生まれる可能性があります。ちょっと英語のお話になりますが…
海外の「プディング」という言葉は、私たちの想像する「プリン」 = 「卵を使ったカスタードベースにカラメルソースのかかった甘いスイーツ」では無く、もっと幅広い意味で使われます。例えば、ゼリーのような物を示したり、小麦粉やパンくずが使われたケーキに近い物だったり、クリームに近い物だったり様々。
イギリスの方では、塩やスパイスなどで味付けされた甘くないプディングも存在し、ソーセージに近いものを示す事もあれば、「デザート」と言う意味で「プディング」と言う言葉が使われる事もあるようです。
例えば、「今日のプディングは何?」と問われ、「バニラアイスクリームだよ」と言う具合ですね。
私達の想像する「プリン(pudding)」とは、だいぶ異なるようです。
ちなみに以下、ロングマン現代英英辞典より引用です。
pudding (プディング)
1, especially British English ) a hot sweet dish, made from cake, rice, bread etc with fruit, milk, or sweet things added
ーイギリス英語 訳: ケーキ、米、パンなどに果物、牛乳、または甘い物を加えた温かい甘い料理
2, especially American English ) a thick sweet creamy dish, usually made with milk, eggs, sugar, and flour and served cold.
ーアメリカ英語 訳: 通常、牛乳、卵、砂糖、小麦粉で作られ、濃厚で甘いクリーミーな料理
3, British English ) a sweet dish served at the end of a meal
ーイギリス英語 訳: 食事の最後に出される甘い料理
4, British English ) a hot dish made of a mixture of flour, fat etc, with meat or vegetables inside
ーイギリス英語 訳: 肉や野菜を中に入れ小麦粉、脂肪などを混ぜて作る温かい料理
出典:ロングマン現代英英辞典
日本人の想像するプリンは、英語で「Flan (フラン) 」と言う方が伝わりそうです。ただ、イギリス英語では、Flan(フラン) はケーキのような別の物を示すよう…。
flan (フラン)
especially British English ) a round pie or cake that is filled with fruit, cheese etc
ーイギリス英語 訳: フルーツ、チーズなどを詰めた丸いパイ、または、ケーキ
American English ) a sweet baked food made with eggs, milk, and sugar
ーアメリカ英語 訳: 卵、牛乳、砂糖で作った甘い焼き菓子
出典:ロングマン現代英英辞典
色々調べた結果、イギリスでは「caramel custard (カラメルカスタード)」で伝わるそうです。ちなみに「custard pudding(カスタードプディング)」と言うと、カスタードベースで間違いなさそうですが、カラメルが無いとか、クリーム状のような物とかでも、カスタードプディングとなり、話し手によって意味が異なりそうです。
まあ、このような感じで、まとめますが、海外でプリンと言うと広い意味を持つので、ブラジルのプヂンは、一般的には「ブラジルのフラン」と訳されている事も多く、親しまれています。
ブラジルプヂンはどこから来た?
ブラジル国民から圧倒的な人気を誇るスイーツとなったプヂン。その起源のハッキリとした記録は残っていないそう。ただ、ブラジルの宗主国であったポルトガルから来たのは間違いなさそうです。
16世紀には、ポルトガルでプリンのレシピは存在していたという主張もあれば、別の説では、19世紀にポルトガルの修道院長によって生み出されたという話があります。
後者の説では、修道院長は料理人でもあり、ポルトガル王室のために、優れたレシピをいくつも用意していました。彼はそのレシピを誰にも話す事はありませんでした。
彼の考えたスイーツはとても人気になり、彼は他の菓子職人にそのスイーツを完璧に作れるかどうか、コンテストを主催し競わせました。しかし、それに近いお菓子はできても、誰もそれを複製する事ができませんでした。
彼の死後、レシピが記載されたノートブックが発見され、ブラジルプヂンの起源となるプリンのレシピが知れ渡ったそうです。
これが、事実かどうかはハッキリしないお話です。
1840年にブラジルで最初の料理本が出版され、その中にカスタードプリンのレシピが記録されています。スイスでコンデンスミルクが発明されたのが1850年なので、この時はまだ、砂糖をつかった普通のプリンだったようです。
コンデンスミルクがヨーロッパの工場で生産されるようになって、ポルトガル王室が好んで使用していました。そして、1921年にブラジルに初のコンデンスミルクの工場ができました。
そして、いつしか、ブラジルのスイーツにコンデンスミルクを使うのが一般的となり、ブラジルプヂンが誕生したんですね。
本場ブラジルのプヂンを作ってみよう!
普通に材料をボウルで混ぜ合わせてもいいですが、ブレンダーを使えば時短で簡単に作れちゃいます。一番難しいのは砂糖を焦がして作るカラメル。あっという間に焦げてしまうので、砂糖が茶色に色付いて溶け始めたら集中しましょう。
プリンの固め方は色々ありますが、プヂンを作る際には、オーブンで蒸し焼きが一般的で、失敗しにくいのでおすすめです。
プヂンを作る型の素材と加熱時間の関係
加熱時間は型の素材にも左右されますので、調整が必要です。例えば、容器がアルミ製であれば熱伝導率がいいので、短い時間で焼き上がり、仕上がりは固めのプリンになります。鉄、ステンレス、ガラス、陶器製の順に熱伝導率が下がっていき、プリンの仕上がりと焼き時間に影響を与えるようです。
筆者は鉄とステンレス で作って試しましたが、実感的には、あまり仕上がりは変わりませんでした。むしろ、ステンレス の方がほんのり固めでは?って感じでしたが、型の大きさがステンレスの方が小さかったからかもしれません。
プリン型はお好みの物を探すといいでしょう。今回のレシピで使用したのは、ラフィネ のフッ素加工エンゼル型18cmです。素材は鉄です。5、6人分くらいのプヂンが作れます。(外人さんにとっては4-5人分になるかも..?) 見た目もブラジルプヂンを再現できます。ブラジルサンパウロ 育ちの夫に味や仕上がりを確認してもらった所、きちんとブラジルプヂンになっているとの事です。ただ、私の使い方の問題なのか2、3回使用しただけで、コーティングが剥がれてきているのがちょっと気になる所です。
よくレストランのステーキナイフなどで見かけるブラジルブランド、トラモンティーナのプリン型もアマゾンにありました。ブランド力なのか輸入なのか、ちょっとお高いですが…。素材はアルミです。ブラジル育ち夫も固めのプヂンで慣れているようなので、ブラジルはアルミで作る家庭が多いのか・・・??こちらの方は24cmなので、もっと大きいサイズが作れます。家族が多い方にオススメ。(※ エンゼル型に拘らなくても、家庭にあるプリン型でも味に全然問題ないですよ〜。)
オーブンで蒸し焼きする際に、プヂンの表面を乾燥から防ぐ為、なるべく加熱時間を少なく設定したいです。加熱時間を少なくするポイント2点、以下に記載しておきます。
加熱時間の短縮ポイント!
1. 蒸し焼きの際はプリン型を耐熱性の容器の中に置き、容器に「お湯」を注ぐ事
2. プリン型の半分までお湯をいれる事
焼き上がりの確認目安は、フォーク等で表面を少し押して、弾力が確認できればいいでしょう。
【動画で見る】本場ブラジルプヂンのレシピ
【レシピ解説】プヂンレシピ
材料( 5~6人分 )
- 牛乳・・・150ml
- 卵 ・・・2個
- コンデンスミルク・・・200g
- グラニュー糖・・・100g
( 20gと80gで分けておく) - バニラオイル・・・小さじ1/2
※ バニラオイルはエッセンスでもどちらでも可。
作り方
【 下準備 】
- プリン型以外に、蒸し焼きする為のオーブン可の容器の準備。用意したプリン型がすっぽり入る大きさで、且つ、深さがプリン型半分より深い耐熱性の容器(あれば)(※)
- カラメルを作る鍋の底が入る大きさの容器に、水を薄くはって準備。( 作り方手順4で使用 )
- ブレンダーがあればブレンダーを用意。(泡立て器等で代用可)
- 蒸し焼きの時に使用する「お湯」を準備しておく。
- 最後にオーブンを180度に余熱。
※ 蒸し焼きに使用する容器は、プリン型の周りにお湯を入れてオーブンに入れるので、深さがあるのがベスト!以下のようなパンを作る型でもいいし、ラザニアを作るガラス皿でも良い。ご家庭のオーブンに入る大きさの物を用意して下さい。深さのあるものが用意できなければ、お湯を少なめに入れて、加熱時間を長めにとって調整していきましょう。
【 手順 】
- 材料を混ぜ合わせます。ブレンダーがあればブレンダーに、無ければボウルに、牛乳、卵、コンデンスミルク、砂糖20g 、バニラオイルを加えて滑らかになるまで、よく混ぜ合わせます。後で型に流し込むので、次はカラメル作りへ。
- 鍋に残りの砂糖をいれ、弱火にかけます。(砂糖が均等に温まるように平坦にしておく)焦らず、じっと待ちます。今のうちに「水小さじ1(分量外)」を用意しておきましょう。茶色く色付いて来たら混ぜ始めます。
※すぐに焦げてしまうので気を抜かない! - 茶色が濃くなったら火を止め、水を小さじ1加えます。※一気にいれると熱い蒸気が出て、火傷の恐れがあるので、ゴムベラにかけて、少しづついれるといい。
- カラメル全体を混ぜたら、水をはった容器に鍋底を一瞬水に付けて、温度を冷ます。(カラメルを予熱で焦がさないため。)この時、冷ましすぎるとカラメルは固まるので、すぐ水から離すこと!
- カラメルが固まらないうちに型に流し込んでいく。
- 素早くヘラで、カラメルを型の周りに伸ばす。こうする事で、型からプヂンが取り出しやすくなるんだそうです。(本当かはわからない。笑)
- 続けて1で混ぜ合わせた液体を型に流し入れ、アルミホイルで蓋をします。耐熱容器に型を入れ、その容器にお湯を型の半分程度までそそぎ入れます。容器の深さが無ければお湯が入る所まで入れ、その分少し加熱時間を長く取りましょう。
- 予熱したオーブンへ入れ、40分程度焼きます。※型の素材やオーブンの種類などによって、加熱時間は多少変わってくるかと思います。調節して下さい。表面を軽く押して弾力があればいいでしょう。
- 焼き上がったら、オーブンから出し、粗熱をとってから冷蔵庫へ。一晩、少なくとも2時間は冷やして、型の周りをナイフなどで一周して、お皿をのせてひっくり返し、型から外したら完成です!!
まとめ
以上、コンデンスミルクを使用した大人気のブラジルスイーツ「プヂン」についてでした。ブラジルのプリンは「日本でも流行りそう」と言われていたので、ブラジルコンテンツを発信する者として、今回紹介する事になりました。プヂンの名称が多くてややこしいですが、「ブラジルのプリン、フラン、プヂン」は全部、同じ物を示していますからね。
ブラジルにはまだまだ、コンデンスミルクを使用したスイーツや、ブラジルならではの食材を使用したスイーツがあり、甘い物が好きな人にとっても魅力がいっぱいです。
まだまだ、発信しますので、またフラッと読んでいただけますと幸いです。